東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科 東京慈恵会医科大学内科学講座循環器内科では、主に心臓や血管の病気を対象に、診療・教育・研究に邁進しております。 一言で循環器病と申しましても、そこには多数の病気があります。遺伝的あるいは先天的な原因が絡んでいる事も少なくないのですが、病気の発症を引き起こす要因はいわゆる生活習慣の乱れであると考えて間違いないと思います。糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症、喫煙などが重なり合い、心臓や血管に様々な異常を引き起こしてしまいます。そして最終的には、狭心症、心筋梗塞、心不全、不整脈などが発症するのです。これらの病気の発症を未然に防ぐためには、まずは生活習慣の改善が望まれます。しかし一方で、循環器病に既に陥ってしまった場合には出来るだけ早期の発見と治療が望まれます。当科では、上記の疾患群を幅広く扱い、急性期から慢性期の病態に至るまで可能な限り対応したいと考えております。循環器内科は、内科という幅広い分野の一つでしかありません。当科は循環器内科という一つの科だけを専門としておりますが、全身管理にも心掛けております。当科だけでは対応しきれない他の疾患を併発されている場合は、他の内科、あるいはそれ以外の科のサポートを頂戴し、診療にあたっております。 医師の教育の面におきましては、良き医師とは如何にあるべきかを常に学生に問い掛け、実際の臨床現場へ出る心構えと未知の分野を切り開く意欲を育成したいと思います。その基礎に必要なのは、もちろん高い倫理観の形成でありましょう。 循環器病学の進歩は早く、次々と新しい技術が導入されています。しかしながら、まだまだ不十分であり、研究こそが将来の難治性疾患を持つ患者さんを救うことに繋がります。自由な発想と地道な研究活動を行って、臨床・教育・研究を一つの輪として展開していきたいと思います。 昨今、世界的に、いわゆる‘Physician Scientist(臨床医科学者)’の育成が困難になってきていると言われています。それは、現代の臨床医には高い専門性が要求され、高度な医療技術の習得などに長い時間を要する一方で、研究もその発想から成果の発表までに膨大な時間がかかることから必然的に両立が難しくなるのです。しかし、臨床と研究は表裏一体であり、同時に進めていく必要があります。困難は承知ですが、我々は、工夫を凝らすことでそれはある程度可能になると信じております。たとえ将来、臨床だけを行う医師であっても、日進月歩の医学に遅れないようにするには、高い志をもったPhysician Scientistの姿勢を堅持することが大事だと考えております。 |